2016年10月現在の、日本でポピュラーなSNSを各々一言の私見で表現すると

Facebook:「関係性のSNS」他者の投稿に反応する手法のバリエーションが一番広い。

Twitter:「言葉のSNS」140文字制限は、ブレイクと停滞両方の原因になった。

Instagram:「視覚のSNS」ビジュアルは“重要”ではなく“全て”

LINE:「カラオケまたは居酒屋の個室」…いや、悪意ではなく、結構しっくりくるのでは?

各々様々な特徴を持っているが、共通して“虐げられている”と言っても過言ではない要素が一つある。

それは“音”だ。

FacebookもTwitterも、SoundCloudなどの外部サービスを使わない限り「音“だけ”」を投稿することはできない。音のついた動画も、自動再生時は(当然の構造ではあるが)強制的にミュートされてしまうなど、視覚要素に比べて大きく冷遇されている。

LINEやMessengerは音声ファイルの送信も可能だが、あくまで留守電の延長的な「ボイスメッセージ」。Instagramの写真のような「自己表現ツール」にはほど遠い状況だ。

この状況の一番の原因は明らかで、音には「拡散性」に起因する扱いづらさがある。

スマホの画面は、わざわざのぞかれない限り他人にはそれ程見えないが、音はヘッドフォンでさえ「音もれ」が問題になるほど拡散してしまう。

また収録においても同様だ。例えば、被写体にぐっと寄れば「四畳半のアパートでオシャレなスイーツ写真」を撮る事も可能だが、音は周囲の雑音を入れずにピンポイントで録るのが非常に難しい。

特に後者はハードルが高そうだが、マシンが「複数の音を聴き分ける」技術は、そう遠くない未来にトレンドになると予測している。ディープラーニングなどによるパターン認識の蓄積が進めば、かなり高い精度で(人間の意識にとっての)「特定の音」だけを抽出することができるようになるはずだ。

それが実現すれば、それこそInstagramに写真を投稿する感覚で、自分の気に入った音を「トリミング」してSNSでシェアするという流行が生まれる可能性は十分にあるだろう(同時に、会話を盗録して公開し炎上、というトホホなニュースも増えるかも(笑))。

音は視覚と違い、別の作業の「ながら」で消費することができる。SNSのタイムラインのようなストリーム構造とは本来親和性が高いはずだ。気に入ったユーザーをフォローして行くと、次々と流れてくる「自分好みの音」に包まれながら過ごせる。SNSの未来のカタチとして、是非いつか現実に体験してみたい。