約1万円で2系統のCV/GATEを出力できるステップシーケンサーのKORG SQ-1は巷で大人気のようだ。
このSQ-1、USBでパソコンと接続することで、パソコンのDAWからのMIDIデータをCV/GATEに変換できるコンバータになるのをご存知だろうか?概要を動画にしてみたので、まずはこちらをご覧頂きたい。
接続されていると、パソコンのDAWからは「SQ-1 CTRL」というMIDIポートとして確認できる(Macで確認)。ここに演奏情報を送れば、ノートの音程がCV、ノートオン・オフがGATEとして出力される。
SQ-1にはCV/GATE出力が2系統あるが、MIDIポートSQ-1 CTRLのCH1と2に送ったMIDIデータが、それぞれのアウトから変換されて出る仕組みとなっている。
SQ-1は、一般的な「Oct/V」と、KORGやYAMAHAのシンセに使われた「Hz/V」の2つのCV方式が使えるが、DAWからの出力時もパネル上の設定が反映される。
さらに、ブレイクアウトケーブルで使うMIDI OUTは別ポートとして使えるので、MIDI付きのシンセを含めれば合計で3パートを演奏させる事ができる。
ただこのMIDI OUT、1つだけ問題がある。DAWからMIDI CLOCKを出力しても、それがSQ-1本体のテンポ設定に置き換えられてしまい、同期に使えないのだ。MIDI CLOCKによる同期は需要が高いと思われるので、是非ファームアップデートなどでの対策に期待したい。
とはいえ、CV/GATEx2系統+MIDI1系統のインターフェースが1万円というのは、文字通り価格破壊と言える設定だ。そして、そこにさらにステップシーケンサーの機能まで付いているのに!(何か違う?)
ところで、去年発売されて話題となったArturiaのBeatstepも、同様にDAWからのMIDIデータをCV/GATEに変換して出力できる。こちらは1系統だが、その代わりパッドを使っての演奏もできるので、また違った利点がある。
これまでMIDI(USB)CVコンバータの代表格だったDoepfer DarkLinkはちょっとコスト的に不利になった面もあるが、その代わりこちらはベロシティ、ピッチベンド、任意のコントロール・チェンジもCV変換できる上に、音程間をなめらかにつなげるGlide(ポルタメント)処理も可能だ(全て、SQ-1には付いていない)。打ち込みでアナログシンセを細かくコントロールする場合はこれ位の項目は欲しく、私も制作ではDark Linkを2台と、ユーロラック型のA-190-1 MCV5などのコンバータを使っている。
SQ-1をコンバータとして使うのに最も向いているのはライブでの使用だと私は思う。1台で2系統コントロールできる上にUSBバスパワーなのでセッティングが一気に楽になる(DarkLinkはACアダプタが必要)。また、内蔵シーケンサーはパソコンに何かあった時の「保険」としても大変有効だ。
2月の「新世界のシンセ界」の演奏では、MacBook上のReasonからSQ-1経由でモジュラーに接続し、2パート分の演奏に使用した。セッティングが非常に楽で重宝したので、外出先での演奏時にはしばらく多用するつもりだ。