MS-20 miniと、Monotron、1970年代のリズムボックスMINIPOPS120という、新旧KORG製品のフルアナログ構成を使って、初代スーパーマリオブラザーズのメインテーマをアレンジして収録してみた。

もちろんMS-20 miniは1台しか無いので、他の楽器も含めDAWへのオーバーダビングを繰り返して作成している。映像ではMS-20 miniが3つだが、実際の音はMS-20 miniが6トラック、他が1トラックずつで8トラックの構成となっている。MS-20 miniは音色をメモリーできないので、1トラック録ってはパッチをバラして次の音色をセットするという作業の繰り返し。当然手間はかかるが、油絵を塗り進めていくようなフィジカルな充足感のある行為だ。

MINIPOPS120

MINIPOPS120は外部とのシンク機能を一切持たないスタンドアロンのリズムマシンなので、昔であれば手弾き以外の演奏を合わせるのはかなり難しかった。しかし現在は、DAW上に取り込んでテンポマップなどを作ってしまえば打ち込みも楽々同期させられる。こうしたフルアナログの機器は、現在のDAW全盛時代になって初めてその真価を発揮できる環境が整ったとつくづく感じさせられる。

 
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Monotronはリボンコントローラをスライドして使われるケースが多いが、今回のようにタップしてパーカッシブに使うのも面白い。極論すれば、シンセに「◯◯用」という分類は存在しない。最終的にどんなサウンドが得られたかが全てだ。

HR-40

 

今回は楽器がフルアナログ構成だったので、リバーブも往年のスプリングリバーブ、HAWK(ホーク技研) HR-40を使ってみた。コンボリューションリバーブをはじめ現在のデジタルリバーブは超高精細なクオリティを持っているが、スプリングリバーブの、ソースごとに反応の違いを見せるニュアンスはなかなか再現できない。しかもこのHR-40、なんと2系統のスプリングリバーブを同時に使うことでステレオの残響が得られるのだ。これを忠実に演算したら、膨大なプロセッサパワーが必要だろう。

 

こうしてみると、音源は全てKORG製、エフェクターも(残念ながら現存しないメーカーだが)日本のメーカー製、そして題材も日本のゲーム機の曲というフルMade in Japan構成だが、Youtube上のテキストを全て英文にした所海外からの反応が結構多くなっている。機材も題材も1970〜80年代のものだが、現在のテクノロジーやメディアと併用することで温故知新できるという感覚は、MS-20 mini自体のコンセプトにもどこか通ずる所があると言えるだろう。