今回はImpaktorの音源部分を解説しよう。
例によって、一連をムービーにしたので、併せてご覧頂きたい。
音源は、同一の仕様のモジュールが2系統用意され、 ミックスバランスが調整可能となっている。
オシレータ部分のモードは、モデリング系、倍音加算系、ノイズ系、シンセ波形系の4つが用意されている。選択するだけでもバリエーションが豊富だし、ノブ操作でかなりわかりやすくキャラクターが変化する。
他のシンセドラム音源ソフトに比べてユニークなのが、トリガーとなる入力音を調整する「IMPULSE」の項目。「Impaktor」の名前も、一つの意味はここからとられているのだろう。
「Out mix」を大きくすると、トリガー音がそのまま出力音に混ざる割合が大きくなり、内部の波形だけとも違った生々しさが得られる。単純にトリガーするだけでなく「手についてくる」 ようなプレイ感覚はここの作用が大きいだろう。
フィルター部も、オシレータ部と同様に多数のタイプが用意されている。
フィルター部のバリエーションは、同開発元のVAシンセ「Sunrizer」と共通のアルゴリズムも多い。単に種類が多いだけではなく「効き方」のチューニングが実に多彩だ。開発元のBeepStreetはネット上の情報では詳細があまりわからないが(Webサイトの記載ではポーランドで開発しているらしい)、過去に何らかの著名なシンセ等の開発に関わった技術者の手によるものではないだろうか?と思えてならない。
各パラメータのモジュレーションソースとしてエンベロープフォロアーも用意されている。
「Target」のスイッチをオンにすると、アサイン可能先の表示が変わる直感的なUIデザインはまさに「スマート」な雰囲気に溢れている。
エフェクトはディレイとリバーブを装備。
「FX」のボタンを押すと詳細がエディットでき、内蔵エフェクトとしては十分なレベルだが、音源自体の出音の良さを考えると、個人的にはなるべく内蔵エフェクトは使わずに外部で処理したい感じだ。
Impaktorの音源部は、シンセドラム音源としてはハード、ソフト含めて過去最高レベルの完成度と言えるだろう。デジタルシンセドラム音源の中では、CLAVIAのNord Drum(私も大変気に入っている音源だが、良さがマニアック過ぎてイマイチ一般ウケしていないと感じる)にも通ずるものがあるが、音源トータルの完成度ではImpaktorの方が上と言えるかもしれない。
次回は、これまた面白いImpaktorのレコーダー・シーケンサー部分をご紹介しよう。