2014年の10月、「ナニワのシンセ界」に続くシンセ映画のためにDoepfer社創業者・Dieter Doepfer氏にインタビューするため、ドイツ・ミュンヘンを訪問した。

Dieter氏と私。この写真を載せる意図を誤解してもらっては困るが、100%ミーハー的な自慢であり、深い思慮や意図は一切無い(!)
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さて、その際に訪れたミュンヘン市内の楽器店「hieber lindberg」が色々と面白く、大きな刺激を受けた。

hieber lindbergはミュンヘン中央駅から10分位の、様々な店舗が立ち並ぶ賑やかな街区にある。入り口はこんな感じで、ビルが丸々楽器店となっている。以前、渋谷の道玄坂にあったヤマハの店舗がさらに大きくなったような雰囲気だ。
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入り口は電子ピアノのコーナーで、YAMAHA、KAWAI、ROLAND、CASIOといった日本メーカーが席巻していた。
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フロアごとにジャンル分けされ、試奏できるスペースや譜面などもかなり充実している。日本で言う島村楽器のような、総合的な形態の楽器店だ。
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そしてフロアを進んでいくと…さすがドイツ!「アナログ、バーチャルアナログ、デジタル」と律儀に音源方式をずらっと記載したシンセコーナーが!
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記載通り、現行の様々なシンセがズラリと並ぶ。
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日本ではあなり見かけない機種も。Studio Electronicsの上にあるSMS Planet7、2Uサイズでこの内容はかなり魅力的!
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そして、Doepferのお膝元であるここミュンヘンが、ある意味発祥地とも言えるユーロラックモジュールもズラリ!
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お店に着いた時はこのお兄さんがずーっとパッチングに集中していて、結局触れるまで1時間近く何度も他のコーナーと行ったり来たり。まあ、気持ちはよくわかる!モジュラーシンセの周囲にはウラシマ効果が働いている!
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在庫もなかなか豊富。しかし、この隣の棚で衝撃的なモノを見てしまった…。
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こ、これは…こんなに無造作な包装で山盛りにしてDoepferのモジュールが売られているとは!見る限り中古ではなく新品のようで、実はこの売り方がデフォルトなんだろうか?

モジュールの置き方もそうだが、やはりこうした「普通の」楽器店でモジュラーに触れられる環境に、大きな感銘を受けた。

日本でも最近はモジュラーに触れられるお店がどんどん増えているが、まだ東京と大阪にほぼ限られているのが現状だ。これが、せめて各地方の拠点となる都市で、専門的なお店に加えてショッピングモール内のお店などでもモジュラーに触れられる場が増えれば、存在を知って、面白さに目覚める人たちの数も飛躍的に増えるだろう。これは「シンセ界の一つの理想」と言える姿だ。

日本のシンセ界も、大勢の方達の活動によってどんどん進化・深化と成熟が進んでいる。その世界に、さらに広範囲の人々に触れてもらう状況を作りたいというのが、現在の一番大きな願いだ。

今年は次回作映画に加えて、とにかく様々な試みを準備しているので、是非ご期待頂きたい!