iOS向けの音楽制作系アプリは、企業から個人まで多数のデベロッパーが参入して群雄割拠、渾混沌沌、魑魅魍魎の状態となって既に久しい。その中で私が現在最も注目している開発元が「BeepStreet」だ。

2014年1月現在、出しているアプリは計5本と決して多いわけではない。しかし、UIデザインや仕様設計の巧みさ、出音の良さ、動作の軽快さなどどれをとっても、PCも含めたソフトシンセ全体でトップクラスの実力を持っていると言える。

中でも、インパクト・実用性共に非常に高いのが「Impaktor」。iPhone、iPad各々のバージョンがリリースされている。

iPhone版
impaktor_iphone

iPad版
impaktor_ipad

これは、iPhone/iPadの内蔵マイクなど音声入力をトリガーとして発音されるパーカッションアプリ。どんな雰囲気かは、開発元のデモビデオをご覧頂くのが早いだろう。

ご覧の通り、iPhoneのインタラクティブ性が良く活かされた良質で楽しそうなアプリ、という感じがよく伝わってくるだろう。

私もこの記事執筆前に、プリセット音色での軽い即興デモを録音してみた。

手のニュアンスが微細に反映されるので、まさに「楽器」と呼ぶにふさわしい表現力。演奏していてもとても楽しいし、このニュアンスはサンプリング系の音源では再現が非常に困難だ。ン10GBのサンプルライブラリ音源などとは全く異なる、奥深い「価値」を持っている。

しかしこのImpaktor。こうした「お手軽感」で不幸にも軽く見られてしまいがちだが、実は「一つの新しい楽器」となり得る程のポテンシャルが秘められているのだ。

デモビデオのような使い方だと、マイクから音を拾ってしまうので他の楽器との合奏なのもできないが、少し工夫したセッティングを作ることで、ライブ等でも活用できる実用的なツールに早変わりする。

次回からは、Impaktorのセッティング例やさらなる活用法をご紹介しよう。